谷崎潤一郎『細雪』

細雪 (中公文庫)

細雪 (中公文庫)

以前から読みたいと思っていたのだが、文庫でも1000円するし、と迷っていたところに実家にて発見。これだけの長編小説ならば、読むのに前期中かかるか、読み終えられないまま持ち帰ることになるかもしれないと思っていたのだが、約2週間で読了。
う、しまった。これから何を読めばいいんだ*1
それというのも、下手なドラマよりずっとおもしろかったせいだ。4人姉妹を中心に何やかやと小さな事件が起こり、歳月が過ぎてゆく。
さすが谷崎潤一郎、女性や着物、蛍狩、花見などの描写は圧巻。心理描写や人物の経歴説明も細やかである。嫁入り前の娘は本家においておくべきだ、とか、妹は姉より先に嫁に行けない、とか、職業婦人になるなんてけしからん、など現代では消えてしまった意識もかいま見える。
個人的には、外来語の表記(ポッケット、ハリウド、ローマイヤア、カフェエ、バアテンなど)……も興味深かった。

*1:といいながら他にも読むものは持ってきているし、図書館にもあるのでご心配なく