• エイプリルフールについて
  • 即席スピーチ……のはずが。

「じゃ、即席スピーチをします」と言ったとたん、いやーな顔をする学生たち。

どうもこのクラスは表面を取り繕うのがうまく、それが今のクラスの足を引っ張ってしまっている。
仲のよさも表面的で、結果傾聴する態度や相手を受容する雰囲気が希薄だ。
語学力に関しても表面的。読んで分かったような気になっているけれど、「分かった」ことを言わせると言えない。「今学期は話すことをがんばりたい」というわりには、いざ話す機会を与えると嫌がる。「自信がない」「緊張する」といって逃げる。
なんというか、ものすごく「女の子」なんだなぁ。差別発言をお許しください。でもわたしも女なので、よく分かる。女の子の嫌な部分を凝縮したような雰囲気なんだ。
逃げることに関してはわたしも負けてはいけない。学生時代ずっと逃げてきたといってもいい。今だって、隙あらば脱兎のごとく、だ。
でも、でもね、それじゃ外国語はうまくならないんだ。

ここのところ、このクラスについて考えていた気持ちがどっとあふれてしまった。
ねえ、一体、何が嫌なの?不安なの?教えて。
「うまく話せるか自信がない」「失敗すると思うと緊張する」「怖い」

大学は、本当に嫌ならやめられる。別の専攻に変える事だってできる。にもかかわらず3年間、日本語を頑張ってきたことにもっと自信を持っていい。先生がいくら単語を覚えたってだめなの。誰もあなたの代わりはできないの。あなたが覚えてきたからこそ、ここまで話せるようになったんだよ。入試の成績が悪くて、不本意にこの大学で日本語を学び始めたのかもしれない。そう、あなたが日本語を選んだのではない。日本語があなたたちを選んだんだ。それは、あなたにできるからなんだよ。

「3年も勉強したのに、まだこの程度」って言うね。日本人の赤ちゃん、3歳でどれくらい日本語しゃべれる?「女性の生き方について」「結婚について」スピーチできる?できないよね。でもみんなはできるよ。

自信がつくのを待っていたら、100年たっても話せないよ。自信は話す前に持つものなの。
日曜日の朝、わたしは中国語で航空会社に電話した。最初は自信がなくて、案の定「何言ってんのか全然分からん」って言われた。切った。午後、もう一度電話した。こんどは通じた。文法にも間違いがあったはずだし、発音もおかしかったと思うよ。どうして通じたのかな?それはわたしに自信があったからだと思う。「やるしかない!」って。

「間違ったらどうしよう」「先生が指名したらどうしよう」「うまく言えなかったらどうしよう」。
……「明日死んだらどうしよう」って心配する?ばかばかしいって、いま笑ったね。みんなが心配しているのは、それと同じ程度の不安なんだよ。そうなる前から、心配している。

みんな、まだまだ失敗が足りない。足りなさ過ぎる。失敗しなきゃだめだよ。最初から完璧に話せるわけがないんだよ。完璧にできる人は、もう明日からここに来なくていい。いま、わたしたちは勉強しているんだ。だから間違っていいんだ。どんどん失敗してください。大事なのは、失敗した後。次は失敗しないように工夫する。対策を立てる。ある単語が出てこなかったのなら、その単語を覚える。そしてまた話す。また同じ単語が分からなくなっても、またそのとき覚えればいい。失敗して、落ち込んで、終わり、では意味がないんだ。

わたしだって、中国語で失敗の連続だよ。昨日なんか、联通(liantong)のカードをくださいと言ったら移動(yidong)のカードが出てきた*1。「ごはん半人前(banfarmifan)ください」といったら「8人前(bafar)も食べるの!?」*2と驚かれた。
でもね、そこで落ち込んでたら上手にならないんだ。あはは、って笑えばいい。そして次に備えて覚えればいいんだよ。

みんな、自分に勝ってください。「わたしはだめだ」っていう気持ちに勝ってください。

「自信は話す前に持つものだ」
「失敗は すればするほど うまくなる」
「勝つ!」

今日の宿題は、この文を10回言うこと!

*1:全然違うやん!

*2:こんな聞き間違われ方は初めて。新人の食堂のお姉さんだった。それにしてもなんだか馬鹿に失敗の多い日だった……。