ひさしぶりにタクシー

「打車」という言葉を知ったのは大連に来てから。それまでの2年はタクシーに乗ることは殆どなく、あっても日本人と乗るくらいだったので、知る機会もなかった。
雨が降ったりパソコンを持っていたりすると出勤時にタクシーを使うこともあるが、オフィスが引っ越してからは遠くなったのでそう気軽にも乗れない。

タクシーの運転手は話好きだ。
とはいえ、大連のタクシー運転手は長春や煙台ほど話しかけてこないような気がする。外国人が多いので特に珍しくないのと、話しかけても中国語が分からない客が多いせいだろう。
普段、運転手が話しかけてこなければ特にわたしから話しかけることはない。当たり障りのない話をしているうちは楽しいのだが、話が込み入ってくるにつれて中国語が分からなくなってしまうからだ。
退勤後、Fさんのお宅にお邪魔して手料理をご馳走になり、10時頃Sさんとタクシーに乗った。夜も更けた頃だという気安さからか、ごきげんな運転手さん。「おやおや、こんなきれいな子が2人も乗ってきたよ*1」などとお世辞を言うので、身構えた。
大体、変に愛想が良い運転手は裏があるんだ。遠回りしたり、メーター倒すのをわざと忘れたり、偽札をお釣りで渡したりする。ふん。と心の中で警戒しながら、こちらも一人ではない安心から答えたり話しかけたり。

  • 旅順口の出身。旅順と大連では言葉が違うんだ。
  • 離婚した。子どももいない。ひとりで暮らしている。
  • 好きなことは運転と、まあおしゃべりすることかな。
  • 日本の男より中国の男と結婚したほうが、家事もやってくれるし良いだろう?

最後のところについては聞き取れず、何度も説明してもらった。説明してもらえばもらうほど難しくなってあきらめかけたが、料理というキーワードが出てきて分かった。

メーターは最初に倒したのを確認していたし、遠回りもせず。お釣りもとぼけずきちんとくれた。何も起こらなかった。
「再見!」
なんとなく陽気になって帰宅した。

*1:聞こえたところをつなぎ合わせた想像訳。