延吉到着

大連から汽車の旅18時間。昼12時半に延吉到着。同僚が迎えに来てくれた。
そこからタクシーで30分ほどの街「龍井市」に移動する。彼女の実家はそこにあるのだ。
荷物を降ろして、串焼きを食べに行く。美味。最後は玉米(とうもろこし)麺。そこはかとなくとうもろこしの香りがした。
店でも市場でも(彼女の家でも)、やりとりは全て朝鮮語。もちろん、中国語も話せば理解してくれるが、朝鮮語を先に言われるとすくんでしまう。あれれ、大学でかじった韓国語は……というなかれ、聞けばアクセントや使う単語が違うらしい。語尾に「〜ヨ」なんかあまりつかない気がする。一瞬、西アジアの言語か、と聞きまごうこともある。いや、ただの勉強不足かもしれない。

中国語であれば、話の中から分かる単語をつなげ、少なくとも大意をつかむことができる。が、朝鮮語ではそれもお手上げ。なにかひとつでも知っている単語があるかも、と注意深く聞いても単語がいっこうに拾えない。いきなり3年前に連れ戻されたような感覚。

あれは中国に来たばかりの頃。
吉林省白城市に行った。担当の1年生が軍事訓練で授業がないからと、4年生の教育実習につきそいで行かせてもらったのだ。学生の実家に泊めてもらって数日を過ごしたが、あのときも中国語がひとつも分からなかったっけ。
言葉ができなくても意思疎通はできる。分かってはいるのだが、どうもしり込みしてしまう……。自分の悪いくせだ。
「出したいのに、自分に勇気がないせいで出せない気持ち」を久々に味わったのだった。